お知らせ
慢性腎不全のネコちゃんなどでは治療の一環としてご自宅で皮下輸液を行っていただく場合があります。リンク先のページで「皮下輸液の方法」をご説明しています
9月に入って2頭のワンちゃんがマムシに咬まれて来院しました。マムシの活動が活発化しているようです。
マムシに咬まれた犬には咬傷跡からの出血、患部周囲の急速な腫脹および疼痛、充血および皮下出血が見られます。おもに顔(唇や鼻)や前足の先端部を咬まれることが多く、急速に腫脹が頭部全体から頸部まで、あるいは肩周囲まで広がり、疼痛によって採食困難になる場合があります。受傷後早期からの治療で一週間程度で回復する場合が多いですが、重症例では患部の壊死や呼吸困難あるいはショック症状が見られる場合があります。
マムシが活発に活動する時期は散歩の際にワンちゃんを藪に立ち入らせない、ネコちゃんは放し飼いにしないよう注意してください。
キシリトールは自然由来の甘味料で、ヒトでは「虫歯ができにくい」としてキシリトールガムの愛用者が多いのではないでしょうか。ところが、キシリトールガム一粒で犬が低血糖を起こし、意識低下や痙攣、昏睡を引き起こすことをご存じですか?
ヒトおよび犬や猫では、血糖値は膵臓からのインシュリンの分泌によって調節されています。ヒトでは体内に取り込まれたキシリトールは膵臓からのインシュリン分泌を引き起こしません。しかし霊長類以外の動物(すなわち犬や猫)で強力なインシュリンの放出を引き起こし、キシリトール摂取後10〜30分で血糖値の低下(低血糖)が起こります。
低血糖を起こすキシリトールの量はイヌの体重1㎏あたり0.1グラムと報告されています。コンビニで普通に見かける「キシリトールガム」は1箱に14粒入っていて9gのキシリトールが含まれています。ということは一粒あたりキシリトールが0.6g。つまり、5㎏のシーズーで1粒、10㎏の柴犬で2粒で中毒を起こす可能性があります。臨床的には他の食物を一緒に摂取した場合には低血糖の症状が現れない場合もあります。
キシリトールによる中毒を起こさないために守ること
・キシリトールガムはイヌの届かないところに保管する
・キシリトール入りの食品をイヌに与えない
現在のところネコやその他の動物でのキシリトール中毒は報告されていないようですが、霊長類以外の動物はキシリトール中毒の危険性があることを知っておく必要があります。
明らかに犬猫がキシリトールガムを食べた事がわかる場合は、速やかに獣医師にご相談ください。また、キシリトールガムを食べた可能性があって突然の意識低下や痙攣が見られた場合は速やかにご来院ください。
朝晩めっきりと涼しくなって秋の気配を感じます。「味覚の秋」、食卓にブドウが並ぶことも多いのではありませんか?
さて、そのブドウですが「イヌが食べると腎不全を起こすことがある」ことが知られています。2001年に米国でブドウやレーズン(干しぶどう)を摂取した後に急性腎不全を発症した犬10例が報告されて以来、世界的に注目されてきました。日本でも「ブドウは犬に中毒を引き起こす食品である」ことが徐々に知られてきています。
「犬のブドウ中毒」はまだ解明されていない点も多く、摂取した犬が発症しない例も報告されています。しかし、腎不全を発症した例では死亡率が高いことから、「ブドウ・レーズンは犬に致死性の中毒を引き起こす食品」として、ワンちゃんには与えないようにお願いします。